最強のフロント・アクター(前座)
前泊憲作とキャンヒロユキが描く革命のシナリオ
株式会社フロント・アクトの中心となるふたりが 会社立ち上げのきっかけや今後のビジョンについて語り合うトップ対談。
最強のフロント・アクター(前座) 前泊憲作とキャンヒロユキが描く革命のシナリオ
01
ずっとフリーランスでやってきたけど、
会社作るなら今だなって思えた(キャン)
- 最初に知り合ったのって、何かの番組の現場だったよね。
- そうですね。キャンさんが担当している番組のヘアメイクがボクで。『キャンヒロユキってやべえ奴いるぞ』って話は前から聞いていて、噂通り怖いなーと(笑)
- ウソだよ。ふつうに話しかけてきたじゃん(笑)
- 速攻声かけて飲みに行って、すぐ意気投合(笑)。放送作家とヘアメイクで仕事は違うんだけど、お互いに考え方や方向性が似ていて。それがあるから、事業を始めようと思ったときに、すぐ相談しに行ったんですよね。
- オレもオレで、ずっとフリーランスでやってきて、「会社作ったほうがいいんじゃない?」なんて声もこれまであったりしたんだけど、なんとなく『今のタイミングじゃないなぁ』と思って。
でもフロントアクトの話を聞いたときにはじめて『今だな』って思えたかな。
02
沖縄のエンタテインメント・クリエイティブはアメリカとも東京とも違う独自のもの(前泊)
- 沖縄って、エンタテインメントにしてもクリエイティブにしてもすごくクオリティが高くて、ほんとにすげえひとがいっぱいいるんですよね。ボクのとこにも『今度こういう仕事するんだけど、こういうことできるひといない?』って話がきて、知り合いを紹介することもよくあって。
- それはオレもある。ただ紹介したからにはそれなりの責任も出てくるから、仕事としてきちんと回したいなとはずっと思っていた。沖縄はフリーランスで頑張っているひとも多いし。
ただ、フリーはしがらみがなく自由でいいけど、一方では営業もスケジュール管理もギャラ交渉も、全部自分でやらないといけないから、プロとして生活していくのはなかなかタイヘンだよね。案件にもよると思うけど、ギャラの額もかなり抑えられるし。美容業界もそうじゃない? - ボクが東京から沖縄に戻ってきて13年になりますけど、いまだに0が1個少ないっていうのも当たり前ですね。
技術では負けていないはずなのに、適正なギャラがもらえないっていうのは…。
フリーでも安定して仕事ができるように、クライアントと個人の間に入るエージェントの必要性は前から感じていたんですよ。 - オレも同じ事を考えていたから、エージェント業務の話を聞いたときはすごい納得した。
要は『クライアントと個人をつなぐハブ的な役割』だよね。
海外ではあたりまえのシステムで、ひとりのアーティストがギャラ交渉はエージェントに、スケジュール管理はマネージャーに、セキュリティは警備会社にとそれぞれ個別に発注して、完全分業化ができているのはホント合理的だよね。個人がひとつの会社というイメージで。 - 沖縄のエンタテインメント、クリエイティブはアメリカとも東京とも違う独特のものじゃないですか? だからこそ成功するチャンスは山ほどありますよね。
この方式は今後沖縄にとどまらず、アジアや他の地方にも拡がっていくと思いますよ。 - あと、タレント側だけでなく、依頼する企業側やクライアントも安心できるというのもある。
企業側や広告代理店・イベンターから「どんなひとに出演依頼していいかわからない」「フリーランスに仕事をお願いするのはちょっと不安」という意見も時々聞くので、エージェントがタレントさんと依頼側者側を、信頼を持って仕事・契約としてつなげる、というメリットもある。どちらもメリットずくめなんです、エージェントのシステムって。
03
地元沖縄のためにも、本当にいいモノを作りたいなあって(前泊)
- (フロントアクトは)いわゆるプロフェッショナルの集合体ですよね。
企画から制作、プロモーションまで全部の工程を、信頼できるクリエイターとチームを作って完成させることができたら最高だなと思います。 - たとえば、店舗を作るのであれば、空間プロデューサーがデザインしたものを設計士とインテリアデザイナーが内装を手掛けて、WEBディレクター、グラフィックデザイナー、フードコーディネーターがメニューを作るでしょ。プロモーションイベントやるならMCもいるしミュージシャンや芸人、タレントもいるし、テレビやラジオのCMや番組も作れるしね。
- ボクが今、手掛けているシャンプーの開発企画もこのシステムで進めていくんですけど、今から楽しみでしかたがないんです。
まだ開発している途中の段階なんですけど、大宜見産のシークワーサーだったり本部産のアセロラ、もずくなんかも加えて、沖縄県産の原料にこだわって作っています。 - これがうまくいったら、またおもしろいことになるよね。地元企業がプロデュースする商品として、ホテルや観光スポットでも導入してもらえるといいよね。
- ボク自身、美容師として十何万人の髪をさわってきて、いろんなシャンプーを見てきてるから分かるんですけど、オーガニックと謳っているものにも実際には体によくない成分も混じっているものもあって。
地元沖縄の海を守るためにも、安心して使える本当にいい商品を作りたいなあって考えたんですよ。 - 沖縄の人も観光で来ている人も、漠然とした危機感は持っていると思うんだよね。「このきれいな海がいつまで持つんだろう」って。
そういう想いが詰まった製品は業者や消費者にも伝わるんじゃないかな。プロモーションのしがいもあるよね。 - ここでもやっぱり沖縄という土地の強みが活かせると思うんですよね。
たとえば、台湾で『台湾式シャンプー』なるものを体験したんですけど、これがすごいユニークで。沖縄にも『沖縄式シャンプー』みたいな独自のメニューや商品が産まれて、それが世界中に広がっていったらおもしろいですよね。
04
オレらが前座としてしっかりあっためとくから、安心して思い切り仕事をしてほしい(キャン)
- やりたいことがいっぱいありすぎるんだけど、エンタテイナーやクリエイターの地位向上であったり、クライアントの満足度向上であったり、とにかく『ひとを幸せにする』っていうのは目標かな。
- そうですね。フロントアクトのいいところは『やればやるほどみんなが幸せになれる』っていうところだと思います。あとは、ボクも店舗を複数持っていますし、キャンさんは放送作家という仕事を沖縄に根付かせたパイオニアですけど、下を育てることも必要ですよね。
- 自分だけで突っ走ることは簡単だけど、ひとりでは限界があるからね。『良い番組を作るためには放送作家が必要だ』と現場や周囲に思わせなきゃいけないし、若者に『将来は放送作家になりたい!』と思わせることも大事。
- エージェント契約を結んだひとたちのなかから、とんでもないカリスマが出てくるかもしれませんしね。
- そうだね。すごいやつ出てきてほしいな。自分の仕事以上に楽しみかもしれない。
- ボクらは主役じゃなくてあくまでもフロントアクト(前座)ですからね。
- そうそう。「オレらが前座としてしっかりあっためとくから、安心して思い切り仕事してくれ」という。主役は「ひと」であり「モノ」であり「空間」。そういう意識はずっと持っていたいよね。
- めっちゃアクの強い前座でいたいですね(笑)
PROFILE
前泊 憲作
KENSAKU MAEDOMARI
JAG☆STANGグループ 代表。2005年に美容室、BAR、古着屋を複合させた JAG☆STANGをオープン。TV・雑誌などのヘアメイクなどを手掛ける他、県内外イベントでオーガナイザーを務め、〝美容師を超えた存在″として、内外から注目を集めている。
キャン ヒロユキ
KENSAKU MAEDOMARI
沖縄放送作家の第一人者。1996年、琉球大学在学中より放送作家のいない沖縄で、放送作家を始める。その後東京NSCに入学。東京での活動ののち帰沖、県内外のテレビ・ラジオ・舞台の企画・構成・脚本を手掛ける。